コメニウス続き(9/30日 3つ目)

 コメニウス続き

                                 

 

 さて、コメニウスが教育哲学で考えたのは、

「遺伝か環境か」

 であった。

 はっきり言うと、コメニウスは完全に環境よりの思想である。

 提示したのは、〝白紙説”である。

 この概要は、文字の通りだ。

 人間は白い(何も書き込まれていない)紙のようなものという事である。

 環境=教育 によって、悪いものにもなるし、良いものにもなると言う、極めて環境論に近い考え方をしていたと考えられる。

 

 ちなみにコメニウスが残した功績は、パンソフィアの思想体系だけではない。

 超実践的な、試みを行っている。

 それは『世界図絵』(1653~1665)である。

 可感界図示とも呼ばれる。

 現代風に言うならば、百科事典のようなものである。

 絵が入っているのだ。コメニウス以前は、リンゴを見た事の無い人間に、リンゴの存在を教える事は非常に困難だった。

 百聞は一見にしかずという言葉の通り、文字だけで、あるものを説明するのは難解極まりない。

 だから、図柄のついた教科書が必要だったのだ。

 現代では当たり前のように図柄が付いているが、そのルーツは、コメニウスの『世界図絵』なのである。