お経式記憶法(12月3日 2個目)

 高野山の学生なら殆どがやっているであろう高額バイト? 棚行。

 僕も学部生の時は、学費をまかなう為にやりました。

 最初、業務内容を知らずに、あるお寺でやらせて貰う事になりました。

 しかし、内容を聞いて愕然。

 一人で檀家さんの家を一軒ずつ回るのです。しかも、一日三十軒ほど。

 檀家さんはこちらを、お坊さんだと思うわけですから、すごいプレッシャーです。読み間違えたりしてはなりません。

 その時に唱えるのが理趣経なわけですが、絶対噛んではならないと思い、棚行の二ヶ月ほど前から、毎日毎日、理趣経を唱え続けたわけです。

 ちなみに、理趣経に何が書かれているのか、まったく理解出来ていません。

 しかし、二ヶ月後、つまり棚行をやる時には、理趣経を“内容を理解しないままで”お経を見ずにも唱えられるようになりました。(お経は暗記していても、絶対に開かなければならないというルールがありますが)

 記憶力に自信がなかった僕は、これには驚きました。

 ただし、棚行が終わり、一ヶ月も経たないうちに忘れてしまいました。

 その一ヶ月の間に、理趣経の内容を勉強しなかった事が悔やまれます。

 

 この方法を、何か別の分野に使えるんじゃないかと、企ててる所です。例えば国語科であれば、古典作品をひたすら唱えて、まる暗記してしまった後で、文法書を読むなどすれば、理解力が段違いなのではないかと。

 頭の中に、参考例が沢山インプットされている状態で、法則を学ぶという事ですね。

 記憶が本当に苦手な僕でも、ただ唱え続ければ、覚える事だけなら可能なのですから、結構良いんじゃないかと思います。

 問題は、僕のアパートは壁が薄く、同居人の人が、

「ついに宗澤の奴、頭がおかしくなったか」

 と、思われる可能性がありますね(笑)。

 とりあえず実験してみます。