ペスタロッチまとめ3(10月25日 3個目)
ペスタロッチまとめ3
最後に、ペスタロッチの思想に触れたいと思う。
ペスタロッチの教育思想は、〝基礎陶冶の理念”が根底に据えられている。
陶冶とは、(陶器を造ることと、鋳物を鋳ることから)人間が持って生まれた性質を円満完全に発達させることである。
つまり、自然に従う(合自然)という事だ。
ちなみに、ペスタロッチの『リーンハルトとゲルトルート』という小説では、リーンハルトとゲルトルートが夫婦で、石工を職としている所からも、思想を小説で行うペスタロッチの技巧が感じられる。
さて、教育において、自然に従うというのはどういった事か。
図柄が使用出来れば、もっと解りやすく書けたかもしれないが、ブログの使い方が解らないので、文字だけで説明する事にする。
世界には、動物や生物がいて、その中に人間が居る。
ペスタロッチは、人間には、人間的心情(心)と、人間的精神(頭)と、人間的技巧(手)があると考えた。
つまりは、人間固有の本質である。
人間固有の本質というと、山脇先生の講義で習った、アリストテレスの〝自己実現”に通じるものを感じる。
山脇先生は、講義をされていたので、チョークを持ちながら、解りやすい比喩で『自己実現』を説明してくれた。
チョークは黒板に文字を書くものであって、戦う道具ではない。だからチョークはチョークとしての自己実現がある、と。
そして丁度その日は、雨が降っていたので、また面白い比喩を聞く事が出来た。
傘は雨を避けるものであって、スプーンやハシのように食事する道具ではない、と。
人間にもそういった『自己実現』が存在する、という内容である。
西洋の教育哲学者は、ほぼ必ずと言っていいほど、哲学をベースとしているので、もしかしたら、同じような事を言っているのかもしれない。
ペスタロッチは、前記した、人間の3要素を、内面的感情(衝動)が動かすという。
此処でいう内面的感情とは何かと言うと、〝善さ”であると山本先生に教わった。
そして、3要素から、能力と素質が生まれ、合自然的な発達と完成に関する理念が生まれるそうだ。
教育の方法は、〝実物教授”といって、実際にモノに触らせたり、見せたりして、体験的に学ばせる。
すると〝生活が陶冶する”という発想が生まれるわけだ。
自分には、この方法が、非常に実験的で、合理的で、実用的に思えた。
さて、ペスタロッチの(他の教育者と比較して、重要視していた)教育思想を、3つ挙げてみる事にする。
・教育には家庭の暖かさが必要だ。
・貧民が、教育対象に見なされた。
・学校教育の方法論を確立した。
ペスタロッチの教育の原点は、(とりわけ貧しい)子供の成長、発達を、善さへの衝動が、合自然的に促すものである。